特集:器と物語。

2人が食べた自由軒のライスカレー 「夫婦善哉(織田作之助)」

2020.08.25 Tuesday

織田作之助の小説「夫婦善哉(めおとぜんざい)」は大正時代の大阪が舞台の、ダメな男を好きになってしまう女(蝶子)とダメな男 (柳吉) のお話。

人物の心理の描写よりも俯瞰した情景描写が多くて、暗く湿っぽいストーリのはずなのに、どこかカラっとしいて明るい感じのする作品。これは「人生は近くで見ると悲劇だが、遠くから見れば喜劇だ。」というチャップリンの名言の通り。そこに大阪という町の明るい空気もミックスされて、きっとこんなに明るい作品に仕上がっているのだな、と個人的に納得している。

それでもクライマックスの数行で は「これまでの俯瞰は全て前振りだったの!?」と思うほどに 蝶子の心に一気クローズアップするシーンがあって、とてもドキドキさせられる。で、最後はまた何事もなかったかのようにズームアウト。読後感はさわやかですっきり、不思議と優しい気持ちになれる。さすが織田作!

そんな個人的に大好きな小説、夫婦善哉。この作品のなかで特に重要な場面という訳でもないのだけど、ぼくの好きなシーンがあって、それは2人が自由軒へ行って玉子入りライスカレーを食べるシーン。 「食べるとき、卵をぐちゃぐちゃにかきまぜるのが通の食べ方や」 と柳吉 がうんちくを言うと蝶子が関心しながらライスカレーを食べるシーンは、数少ない2人の幸せなシーンだ。
2人が食べたあのライスカレー。いったいどんな味がするのだろう?

調べてみると自由軒は実在し、今も大阪難波で営業する人気店だと言う。全国取り寄せられるレトルトカレーも販売しているということで早速取り寄せてみた。

フライパンにレトルトのルーを入れ、温めたら豪快にご飯をインしてかき混ぜる。

器に盛り付ける時に中央にくぼみをつける。

先ほどのくぼみに、こぼれないよう慎重に生卵を乗せれば出来上がり!

柳吉の言う通りに実際にぐちゃぐちゃに混ぜて食べてみると、
なるほど!ルーの酸味とスパイスが卵でまろやかになってちょうどいい感じ。これはガツガツ食べれる!そしてどことなく文学的な味がする。これは絶対にカレーライスではなくライスカレーと呼びたい。その方が文学味が増す気がするから。

ライスカレーを食べた後に、小説を読み返してみる。と、なんと作中では蝶子が1人でライスカレーを食べているではないか!
アレ!?いやいやそんなはずはない! 柳吉が 「これが通の食べ方や。」 みたいなこと言っていたはず!そのシーンだけは強烈に覚えている!

よくよく調べてみると印象に残っていた2人が一緒にライスカレーを食べるシーンは、小説ではなく尾野真知子さんと森山未來さんが出演したNHKのドラマの方の夫婦善哉のワンシーンだったことが判明した。シーンの絵だけが記憶として残っていて、小説とドラマがごちゃまぜになってしまったらしい。ぐちゃぐちゃにかきまぜるライスカレーだけに…。

ドラマでも小説でもやっぱり救いのない2人。だけど観ている(読んでいる)うちに何故か愛しくなってしまう。この2人がどうか幸せになりますように、と願わずにはいられなくなる。夫婦善哉はそんな素敵な作品だ。

人生というのはちっとも整然としていなくて、辛味も甘味も酸味もあって、まるでライスカレーのようにいろんなものがぐちゃぐちゃに混ざっている。でもそうやってかきまぜて食べるからこそおいしい。
あのライスカレーにはそんな意味が隠されていたのかもしれない。

自由軒のライスカレーはもちろんそのままでも美味しいけれど、夫婦善哉を観て(読んで)から食べると、きっとさらに美味しく感じられるはず。(も)

各スタッフお好みの器でライスカレーを試食。器によってカレーの表情も少し変わります。↓

この記事で使った器はコチラ↓

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安南 太十草 丸皿 波佐見焼

¥4,180

黒陶 刷毛 飛びかんな 8寸皿 波佐見焼

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リーフ紋 しのぎ7寸皿 有田焼

¥2,200

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デッドストック 復刻 富士山 風鈴 波佐見焼

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