
motifを買いに – 後編 –
午前中からすでに気温30度を超えているのではないかというほどの猛暑のなか、マスクにエプロン姿で私たちを迎えてくれた奥さんのアヤコさん。まず見学させてもらった工房では、木棚に積まれたたくさんの素焼きの器の周りを囲むように職人さんが絵付けや窯入れの準備など、それぞれの持ち場で黙々と作業をされていました。同級生のヨシヤスくんも手元のサンプルを見本に真剣な表情。ラジオのパーソナリティーの声だけが室内に響き、ほどよく張りつめた空気がその場に漂います。


アヤコさんが手がけるmotifの作業場もその一角にあって、あの独特の紋様をどのように描いているのかを、道具や工程も踏まえひとつずつその場で見せながら丁寧に説明してくれました。その後はショールームに移動して吉右エ門のたくさんの商品を紹介してもらい、その特徴と自社の強みを聞くことができました。
「伝統を重んじる業界のなかでもその時代時代に合わせて柔軟に変化をしてきたのが吉右エ門の強さだと感じています。ヨシヤスくんも含め職人さんたちはいまも常に新しい表現を求めて日々の製作に取り組んでいます。motifも吉右エ門があるからこそ、有田だからこそ出来ているものなんです。これまでのmotifの商品はすぐ近くにある自宅に置いてあるので、そちらもぜひ見ていってください」


制約があるなかであれこれ考えたり表現をするのが好きなんです。
群馬で生まれ育ち、東京の大学を卒業後は都内のテキスタイル会社で仕事をしていたというアヤコさん。結婚を機に佐賀に来て、吉右エ門の仕事のかたわら陶磁器の基礎を学ぶために町内にある窯業大学校(現:佐賀大学)にも通ったといいます。そうして日々新しい学びを積むなかで、いちから新しいものを作るのではなく、吉右エ門がこれまで培ってきた伝統と学生時代からのテキスタイルへの強い興味を活かして自分にも何かできないだろうかと動きだしたのがmotifの始まりだといいます。
業務用食器を主軸におく吉右エ門にあって新しく日用食器を作ってブランドを始めたいという思いは、日々目の前の業務で忙しい社内ではもちろんのこと、夫であるヨシヤスくんにも反対はされずともどこか心配をされてたんじゃないかなとアヤコさんは振り返ります。日中は家業である吉右エ門の仕事をしながら子育てもこなし、辺りが静まった夜中に自宅でデザインや構成を練る日々。

「それでも好きなことだし、吉右エ門の長い歴史とその土台があるからできていることなので、その環境にむしろ感謝しているんです。それに自由に何でもやっていいよと言われると逆に困っちゃうほうで、制約があるほうがどうしたらいいかなっていろいろとアイデアが浮かんできたりするんです」
知り合いから借りているという自宅には古いものが好きというアヤコさんの感性で揃えられた家具や小物などが雑然と見えてきれいにレイアウトされています。建物の古さと調和した温かい雰囲気を感じながらここでmotifが生まれたのが納得!と思えるとても素敵な空間。そこで初期のころの作品からいま新しく取り組んでいるデザインのサンプルまでたくさんの商品を見せてもらいながら、これまでの取り組みとこれからの想いを聞かせてもらいました。
「テキスタイルの経験を器に置き換えて自分らしい表現を模索しながら日々製作を続けています。吉右エ門がもつ技術や素材も上手に取り入れながら、自分のなかで掴みかけているものを信じてそれを作品に落とし込んでいきたいですね。これからはもっとギフトとしても選んでもらえるように、それこそ得意のテキスタイルと組み合わせた提案などもやっていきながら手に取ってくれた人の役に立てればと思っています」


取材の終わりにその場でいくつか商品を購入し(それが目的?笑)、いまでは毎日のように我が家の食卓に登場しているmotifの器たち。ふだんの何気ない食事を楽しくワクワクするものに変えてくれています。
「久しぶりに実家に帰ってみんなで食卓を囲んだときなんかに、昔よく使っていた器に料理が盛られてたりすると無性に嬉しかったりするんです。スタイリッシュさなんかない普通の器に懐かしさを感じるのか、ちょっぴりホロっとしたりして。家族の一部というか思い出の一部というか、motifもそんな存在になってくれたら嬉しいですね」
その情熱を胸に終始楽しそうに私たちを迎えてくれたアヤコさん。その温かい人柄がmotifにもしっかりと刻まれているなぁと思いました。一層大切に、ガンガン使います! アヤコさん、ヨシヤスくん、吉右エ門のみなさん、ありがとうございました! (す)

吉右エ門製陶所
佐賀県西松浦郡有田町応法3778
https://www.motif-aritakichiemon.jp/
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