変な町 有田町

2024.06.20 Thursday

有田町からこんにちは!
SPECIALTHANKSです。

最近「変な家」という本を読みました。
ネタばれになるのでくわしいことは書けませんが、ある家の間取りの気味の悪い変な点に気づき、それが想像もしない事件へとつながっていくサスペンスホラーです。次のページが気になって読み始めると止まらないハラハラドキドキのすごい作品でした。

ところで、この本を読んで思い出したのですが、実はわたしたちの住む有田町。
この町ちょっと変なんです・・・。


変な町 有田町

有田町の内山地区と呼ばれる地域。私もここに住んでいるのですが、地図で見るとちょっと変なんです。
これはグーグルマップで見た有田町の内山地区です。


有田町内山地区 Googleマップより

こちらは、内山地区の岩谷川内という場所の付近の実際の写真です。

有田町 内山地区 岩谷川内付近

おかしなことに気づいたでしょうか?
有田町の内山地区と呼ばれるこの地区。有田川に沿うように数キロの細長い範囲に身を寄せ合うように家々が密集して立ち並んでいます。建物同士の密度は東京都に匹敵するほどで、佐賀県随一の住宅密集地となっています。
なぜ、こんな不便な山の中に住宅やお店が密集しているのでしょう??

このような場所に町を作るのはそもそも非効率です。
傾斜の多い山の中より平地に町を作る方がよっぽど楽なはずです。実際ほんの少しだけ西、東、南のいずれかの方角に行けば、小さいながらも平野が広がっています。町を形成するならそちらの方がよほど楽だったはずなんです。なのに、なぜか有田町は平野に町を作らず、わざわざ山を切り開き、そこに町を作っています。

さらにこの内山地区。気になる点があります。
よく見ると出入りするためには、泉山と岩谷川内という2地点を通るしかありません。 逆に言えば、この2点をふさぐとこの町はまるで大きな監獄のような閉ざされた町となるのです。

赤丸の2か所をふさぐと町は出入りできなくなる。

わざわざ手間のかかる山の中に町を作ったこと。2か所からしか出入りできない町にしたこと。
これには何かしらの意図があるはずです。
一体なぜ、有田町はこんな変な町になっているのでしょうか??
誰がどのような意図で作ったのでしょうか??


話は江戸時代にさかのぼる

実は有田町の内山地区が整備されたのは今から400年ほど前の江戸時代。
当時、佐賀藩主導のもと、町内の窯元や焼き物屋さんをすべてこの地域に押し込め、管理するために形成された町だったのです。
「有田焼の製造拠点としてここを整備し、人流物流も厳重に管理するために作った町」と考えると、この町の変な点にも説明がつきます。

内山地区の東には泉山磁石場がありますが、ここは磁器の原材料となる磁石が発見された場所です。磁石場で採掘した磁石は有田川の流れを利用した水車で砕き粘土にすると成型、絵付けをします。その後窯で焼くのですが、この地域の山の傾斜は登り窯をつくるのにとても適していたと言われており、採掘から窯焼きまで、有田焼の製造を一貫して内山地区だけで行えました。

さらにこの地域は先述の通り2か所を封鎖すれば、出入りができなくなります。佐賀藩は上の図で赤丸で示した泉山と岩谷川内の2か所に上の番所と下の番所を設け、この 唯一の通り道を塞ぐことで人流と物流を徹底管理することができました。 大きな監獄という表現はあながち間違いではなかったのです。

有田町内山地区幸平
東西に細長く道が続き両脇には有田千軒と呼ばれる
焼き物屋さんが立ち並ぶ
有田町内山地区札ノ辻交差点
昔はここに札所があった。

このように有田焼の生産物流拠点として、一貫した製造体制をつくるために、さらには人と物の流れを管理するために、 人為的に形成された町が有田町の内山地区だったのです。製造管理も、資源や人流の管理も、広い平野で行うよりもこの山の中の細長い町で行った方が、よっぽど簡単です。さらにここには泉山磁石場という原材料の採掘地、有田川という動力源、登り窯をつくるのに適した山の傾斜と、有田焼を作るために必要なすべてのものが揃っていました。ここは町ごと有田焼の製造工場のようになっていたのです。


藩が解体され、代官所も番所がなくなった現代も、その街並みはそのまま残りました。現在の地図に江戸時代の地図を重ねるとぴったりと道がかさなります。

参照:新有田郷図(2010)
現代の有田町の地図に、安政6年に描かれた松浦郡有田郷図が重ねられている。
道がぴったりと重なる

如何だったでしょうか?
変な町有田町。一見非合理的に見えた変な町は、 実は有田焼を製造管理するために作られた、とても合理的な町だったんです!
なお、文体含めてパロディっぽく書きましたが、書いている内容はちゃんと調べているので正しいはずです。所説あるかとは思いますが・・。


変な町 有田町
参照:新有田郷図(2010)

※ちなみに有田町の番所、今も年に一度だけ封鎖されます。
それは有田陶器市の時期、この番所の間の数キロ(実際には下の番所の方はさらに伸びて有田駅近くまで)が、歩行者天国となります。
そのため、有田陶器市期間中は内山地区に住む私たちは車を番所の外に置かないと、出かけれられなくなってしまいます。少し不便にも感じますが、毎年たくさんの人が来てくれてにぎやかになる町を見たり、普段は出店していない屋台にいって買い物をしたりするので、楽しい方が勝ちます!

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