specialthanks20191211_02

うどん屋さんだった場所

2019.12.11 Wednesday

今年の4月に佐賀県有田町に移り住むまでの5年間。ぼくは福岡に住んでいた。
仕事の転勤だった。東京で生まれ育ったぼくにとって、それは初めての地方での生活で、そこにはさまざまな気づきや発見や感動や不満があったのだけど、そんな中、もっともぼくの心をかき回したものの1つが「九州のうどん」だった。

九州のうどんは、やわらかい。
初めて福岡のうどん屋に入りうどんを食べた後、ぼくはそれをもう2度と食べないと誓った。当時、東京では讃岐うどんがもてはやされていたし、九州のうどん屋なんてぼくの知る限り東京にはなかった。「うどんはこしだ」とテレビのカップうどんのCMだって言っていたし、それは全国共通の認識であると信じていた。だから初めて食べる「やわらかいうどん」は、ぼくに嫌悪感しか与えなかったのだ。

それでも付き合いとか、「どうしてもうどんが食べたい日」というのがあって、仕方なしに九州のうどんを食べることが時々あった。そうやって、(いやいや)定期的に九州のうどんを食べ続けていたら驚いたことに、いつの間にか食べれるようになっていた。というか大好きになっていた。
一体どのタイミングで開眼したのか??自分でもまったく覚えていない。ともかく、福岡に住んだ5年の間に、ぼくの「うどん感」は180度変わったのだ。もちろんこしのある讃岐うどんをぶっかけで食べるのなんかは、今でも大好きなのだけど、こと「温うどん」に限っては今や九州のやわらかいうどん以外は、あり得ないとすら思っている。

「『うどんはこしだ』など短絡的で乱暴な思想也。 伊太利亜のパスタにペンネやリングイネがあるが如き、うどんもその麺の多様なる種類を楽しむべし。」というのが現在の僕の「九州うどん礼賛主義」だ。

九州最大の地方都市で5年間身体を慣らしたあと、ぼくは仕事を辞め、妻の地元である佐賀県有田町に引っ越して来た。今年の4月のはじめのことだ。引っ越してきた翌日、なんと妻の親戚が営むうどん屋が最終営業日だというので、早速2人で昼食を食べに行くことにした。

そこは70代の夫婦が営むうどん屋。地域の人から長く愛され続けたが、年齢的、体力的に厳しくなったからという理由で店をたたむという。日本の片隅の田舎の小さな町にある小さなお店が、(しかも黒字経営をしているらしいお店が)静かに暖簾をおろす。そういうことは日本のあらゆる地域で起きていることなのだろう。

もう13時近い為か、10人は入れるかという店内にはお客は1人いるだけだった。席に着くと2人とも温うどんとお稲荷のセットを注文した。出されたうどんはまさに九州のうどんだった。綿毛の様にふわふわとした透き通る麺の表面。噛むと深層にだけ少しばかりのこしがある。そのふわふわとした麺にやさしい出汁がしみ込んでいる。付け合わせのお稲荷さんもまたおいしい。


食べながら、こんなやさしい味のうどんが未来永劫食べることが出来なくなる、という認め難い現実に絶望する。これは人類にとっての大きな損失ではなかろうか?日本の西の片隅で、数十年間美味しいうどんを提供し続けてきた小さなうどん屋が、今目の前で静かに幕を閉じようとしているのだ。その事実はぼくの心をざわざわさせた。おいしいうどんに感動したため、心の琴線がいつもより敏感になっていたのかもしれない。
思わず「継ぎましょうか?」と言いそうになるのをうどんと一緒に飲み込んだ。
「ごちそうさまでした」と空っぽのお椀に深々とおじぎした。
店の光景を目に焼き付けた後、ご主人と奥さんに「お疲れ様でした。」と挨拶をすると店を後にした。 お腹は満たされたが、しばらくの間なにやら心はずっともやもやしたままだった。「もったいない」「寂しい」というのが率直な気持ちだった。

そのうどん屋だった場所に今もその夫婦は住んでいる。
ぼくが住んでいる家からも近所で、近くを通った時に顔を合わすと、(一応遠い親戚と認識してくれているのか)いつもやさしい笑顔で挨拶をしてくれる。
先日、そのうどん屋の前で娘がどうしてもトイレを我慢できないという。しかたなくトイレを借りることに。すると、店内は驚くほど(お店のトイレまでも)綺麗に保たれていた。あの時目に焼き付けた光景そのままだった。きっと、ご夫婦が店の掃除という数十年続けてきたルーティンを今さら止められないのではなかろうか。
本当にメニューも何もそのままで、注文をすれば今にでもあのやさしいうどんが出てきそうだった。
(も)

▼SPECIALTHANKSのどんぶりと鉢

¥2,750

洋唐草 大どんぶり 波佐見焼

温かい九州うどんが食べたくなる大どんぶり。寒い日の一杯の温うどんは心まで温めてくれる。

¥4,950

染付 雲龍 どんぶり 有田焼

大胆な龍の絵柄がインパクト大!

¥1,870

昌内金/銀塗り 飛びかんな 平鉢 有田焼

内側が金、銀に塗られた平鉢。正月はゴージャスな気分でうどんを食べたい。

¥2,200

染付 イージー丼 波佐見焼

幾何学模様がかわいいどんぶり。デイリーにたくさん使いたい。

今週の アウトレット

人気だけど廃盤。ポップな配色の有田焼 マグカップ!

再入荷未定商品。廃盤となったデッドストック品などなど。訳あってのこりわずかとなってしまった半端品を期間限定、数量限定でご紹介!

今週のアウトレットはポップな配色の有田焼 マグカップ。今から5年前の2016年、有田町で行われた有田焼創業400年プロジェクトの企画として複数の窯元さんが協業し作ったマグカップのうちの1つです。ブルー × イエローのポップな配色に鹿の絵付けのこのマグカップは大人気だったとか。しかし、その後大人の事情(?)で継続しての生産がされていません。当店にももうないと思っていましたが1つだけ出てきました!気になったなら迷いなしです!

¥4,290

【期間限定販売!】【デッドストック】鹿紋/桜紋 マグカップ 有田焼

デッドストック 発掘!復刻!
富士山 風鈴 波佐見焼

長年倉庫で眠っていた波佐見焼の風鈴を復刻しました

赤紫、ターコイズブルー、コバルトブルーの3つの富士山型の風鈴は数年前に作りかけのまま商品化されることなく何年物間倉庫の片隅で眠っていたものでした。長年倉庫で眠っていた波佐見焼の風鈴をSPECIALTHANKSスタッフが復刻しました。

デッドストック 復刻 富士山 風鈴 波佐見焼

新入荷・再入荷!

有田焼。波佐見焼。伊万里焼。わたしたちの住む有田とその周辺の産地ブランドのうつわが新入荷、再入荷!
モンスター柄の子供用のうつわが新入荷!SNSでも大人気の有田焼のリーヴスシリーズの7寸皿も再入荷!

¥3,300

【こどものうつわ】モンスター プレート 有田焼

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【こどものうつわ】和紙染め アニマル くまマグ 波佐見焼

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晶金 ふたかすり 25cm長角陶板 有田焼

¥2,750

【デッドストック】復刻 富士山 風鈴 波佐見焼

¥1,540

黒柚子金銀・老竹フチ金 木甲小皿 有田焼

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染付 富士山 盃 波佐見焼

¥3,300

リーヴス しのぎ7寸皿 有田焼

¥1,980

雲つばめ 輪花皿 伊万里焼

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