
特集:ハロー!!新生活。
皿山ごはん – そうた窯(前編)-
有田町と隣接する武雄市山内町の境からほど近くに工房を構えるそうた窯は有田町出身の諸隈直哉さんがいまから21年前に開いた独立窯。濃(だみ)と呼ばれる有田焼の伝統的な染付技法による手描きの器を得意とし、諸隈さん自らが手ろくろで挽いた大物から型成型でつくる箸置きまで大小さまざまな商品を手がけています。
個人的にも小さい頃から自宅でフリーカップを使っていたり、上京してひとり暮らしをしていた頃や結婚して家族が増えてからも柄を変え形を変えては普段づかいや来客用に重宝してきた思い入れのある窯元。せっかくなのでいちど話を聞かせてほしいとお願いしたところ、そろそろ世代交代の時期だから新しい若いもんに話を聞いてよとのこと。その歴史から事業承継の話までそこにはどんな思いがあるのか、某N〇Kの人気番組よろしくお昼休みに直哉さんと娘の千佳さんを訪ねてきました。

今年で開窯22年目を迎える父・直哉さんはもともと実家の貞山(ていざん)窯で15年ほど修業を積んだ後に独立。当時はバブル崩壊の直後で周囲からは辞めておけと言われてのスタートだったといいます。縮小を続ける市場のなかにあって伝統の継承と時代の空気を取り入れた商品開発でたくさんの人気商品を手がけ、いまでは定番となったアイテムから新作まで幅広く展開しています。
そこに福岡のホテルに勤めていたひとり娘の千佳さんが戻ってきたのがいまから2年前。「帰ってこなくていいし、そのままお嫁にどうぞと思っていたのに。いきなりね」という直哉さんも予想外の展開に。
「小さいころからこの工房で遊びまわって中学時代は夏休みにバイトしてたり、陶器市でも売り子をして、就職してからも職場に無理言って連休とらせてもらって毎年手伝いにきていたし、コンスタントに接点はあったんですよね。でも父は戻ってこなくていいって言っているし、じゃあいいかみたいな、そう思って流していたんですけど。でもきっかけはおじいちゃんが亡くなったときかな。人って失ってみて初めてその存在に気づくことってあるじゃないですか。それと同じで実際に父がやめてここが無くなるって想像してみたら、寂しさというかこれまできちんと向き合ってこなかった後悔みたいなものが自分のなかにあるなって分かって。ずっと引っ掛かっていたもの、周りの友達のなかには実際に帰ってきてやっている子もいるのに自分はこのままでいいのかなって。そうやって改めて自分の本来の気持ちと向き合ってみたら漠然としていたものがはっきりとしてきたし、目の前の光景がだんだんとプラスに見えるようになってきて。それが原動力になって有田の窯業大学に入るにはいつまでに書類を出せばいいかとか、具体的な行動に移せるようになったんですね」
そうして有田に戻ってきて、いちから焼きものの製造に携わり知識を習得する日々。ひとつひとつの技術とその工程を学ぶことが新しい企画や職人さんとの円滑なコミュニケーションに活きてくるのだといいます。
「この世界に入る前までは情報が何もないから自分だけでできるのかなとか、仲間もいないしストイックにやれる性格でもないから大丈夫かなってちょっと不安に思っていたんですけど、思い切って飛び込んでみたら学校にもすでにコミュニティーはあったし、結構同じ年代の人もいたりして、これなら自分もやっていけそうだなって、そう思えたんですよね。周りのみんなとそれってなんでだろうねって前にも話題になったことがあって。出た答えはやっぱり有田だからだよねって。地元愛じゃないけど、でもそういうもんでしょってみんなが思っていた」
厳しさを増すこの伝統産業の世界で仲間とともに伸びていこう、新しいものを生み出そうとするそのエネルギーに父である直哉さんも希望を感じています。
「この子たちの同世代の繋がりはもちろん、自分たち親世代同志の繋がりをきっかけに下の世代が繋がることもよくあるし、その繋がりでこれからまた新しいことをやっていって欲しいなって。そうしてひとつひとつは小さな集まりでも異業種も含めて徐々に繋がっていけば、それがうねりとなって新しい動きが形になってくるんじゃないかなと思う」
と、ふだん面と向かってこういう話はしないという親子の会話を聞いたところでちょうど正午を知らせる時報の音。今日のお昼ごはんはどんなメニューでしょうか。

親子おそろいの小ぶりなお弁当箱にぎっしりと詰められた色とりどりのおかず。そぼろ入りの玉子焼きにかぼちゃの煮物、ひと口大のお肉を囲むのはプチトマトにブロッコリーとレタス。デザートのフルーツまでついています。
これって取材仕様じゃないですか? ゆかりとゴマをふりかけた2色ごはんを頬張りながら直哉さんが目じりにしわを寄せて口を押さえます。定位置のデスクに腰を掛け、ひとつずつ口に運びながら、忙しい一日のなかの束の間のひと息と午後からの段取りを頭に描きます。続く(は)
写真: 中島紳一郎
>>皿山ごはん – そうた窯(後編)-
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